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「動物たちは何をしゃべっているのか?」感想

読書記録

鳥のさえずりを聞きながら、「なんていってるのかなぁ」と
ぼんやり考えたことがあるのは、きっと私だけではないはず。
SNSの動画を紹介する番組で、
助けた動物がまるでお礼を言うかのように鳴いたり
名残惜しそうに振り返りながら去っていく姿をみて
動物にも感情があるのかもしれない
と思ったこともあります。

この本を読んだきっかけ

動物はどんなことを話し、一つ一つの行動にはどんな意味があって
どうやって意思疎通をはかっているのか
そんな私の疑問をそのままタイトルにしたような本である、
『動物たちは何をしゃべっているのか』。
タイトルを見た瞬間手にとってしまいました。

本の紹介

この本はゴリラの研究をされてきた山極寿一さんと
シジュウカラの研究をされてきた鈴木俊貴さんの
対談形式で書かれた本です。

動物たちは、どんなふうに仲間とコミニュケーションを
とっているのから話が広がり、
言葉という観点から人間とはなにか
という話まで及んでいきます。

なるほどと思ったこと

人は視覚的コミニュケーションの動物であり、
非言語コミニュケーションのほうが主体かもしれない
ということです。

これを読んだとき、人間のコミニュケーションといえば、言葉。
つまり音声に頼ったコミニュケーションが主体ではないのかな?

と思ったのです。

ここで人間の進化の過程の話になります。
人間の得意とする能力の
「今、ここ」よりも前の出来事や目の前にない事の話が
できること。

例えば動物たちのコミニュケーション内容は
今目の前で起きていることに
限られているとのことです。

敵が来た・餌を見つけた・求愛
などです。
でも人間は過去や未来の話ができる

直立二足歩行ができるようになり、
手に入れた食べ物を安全な場所に運びみんなで食べる。
そのためには、いつどこで手に入れたかを説明するのに
自由になった手を使ってジェスチャーで伝えていた。
そういったジェスチャーが人間の言葉の原点ではないか
ということなのです。

その原点を踏まえると、人間は言葉より
非言語でのコミニュケーションのほうが
主体の動物だというのです。

これを読んだときに、なるほどだから電話が苦手だと感じる人がいるではないか
と思ったのです。
電話だと、当然相手を視覚的に見ることはできない。
もし直接会って話していたら、
こちらが言ったことに対してどんな表情をしたか
どんな仕草をしたかで、
相手の感情や考えていることを読み取ることができます。
もし相手の表情が少し曇ったようにみえたら、
なにか失礼なことを言ってしまったかな?と推測するでしょう。
首をひねったり斜め上を見て考えているような仕草をしたら
補足説明をしたり、もっとわかりやすく伝えようとするでしょう。

それこそが人が音声を主体としたコミニュケーションではなく
視線やジェスチャーなど視覚的な情報を頼りに
コミニュケーションをとっている
といえるのではないでしょうか。

この本をおすすめしたい人

まずタイトルにあるように
動物たちがどんなことを話しているのかが知りたい人に
おすすめします。

ただし、そのことだけが知りたいというかたは
Part1 おしゃべりな動物たち と
Part2 動物たちの心 の2つの章までで十分かと思います。

以前、鈴木俊貴さんがテレビで
シジュウカラの鳴き声には文法がある
とお話されててとても驚きました。
その実験についてPart1やPart2で紹介されています。

まえがきでも書かれているように
お二人の対談は動物は何を話しているか
から、人間の言葉やコミニュケーションは
動物たちとどう違うのか、
人間の言葉の課題といった
人間とはなにか?という話に広がっていきます。

Part3 言葉から見える、ヒトという動物
Part4 暴走する言葉、置いてきぼりの身体
では、動物がなにを話しているか
のタイトルから離れた話になります。

人間だけがもつ文字は、
時代を超えて、知恵や出来事、経験を共有することができる
すばらしい発明となった。
しかし、文字は声の抑揚や表情といった
非言語コミニュケーションの部分が
抜け落ちてしまっている。

人間が言葉に頼り過ぎている
ことの問題点について
知りたい方は後半のPart3、4をおすすめします。

この本を読んだ人におすすめの本

動物のおしゃべり
 動物とおしゃべりができる主人公の女の子と、
 擬人化した動物とのやりとりが楽しい四コママンガです。
 とにかく擬人化した動物が楽しい!
 ヤンキー風のカラスたちや、
 去勢手術をしてオネエになったオス猫に
 しぶとく逃げ回るゴキブリのおじさんなどクスッと笑えるキャラクターがたくさん出てきます。
 こんなふうにおしゃべりできたら楽しいだろうなが形になった漫画です。

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